Windows 7/8.1から10へ無償でアップグレードできる期間は7/29まで。
それを過ぎるとアップグレードは有償となり、いま世界中のWindows PCに対して熱心にアップグレードを勧めている「Windows 10を入手する」アプリも姿を消すことになります。
Windows 10へのアップグレードは、すべきなのか、すべきでないのか。
皆さんはどのようにお考えでしょうか?
個人的な意見としては、「特段の事情があるなら現状維持すべき、事情がなければアップグレードするのが正解」なのではないかと思っています。
筆者のメイン環境は8.1どまりだけど
昨年の記事にも少し書きましたが、筆者が使っているSONY製のVAIOはやや特殊な構成になっており、しかもメーカー側のアップデートプログラムが提供されない旧機種のため、Windows 10にアップグレードするとグラフィック性能が明らかに落ちてしまいます。
この“特段の事情”のため、メインの環境はWindows 8.1に戻したうえで、解説記事を書くためのテスト環境として仮想マシン上でWindows 10の評価版を動かしているという状況です。
思い返せば、初めてWindows 10を試した段階(build 10240)では、7→8→8.1→10とアップグレードを繰り返した環境のせいもあってか不安定な印象がありました。しかし、いま仮想マシンに入れている現在のWindows 10正式版(build 10586)ではほとんど問題を感じることはありません。
まあメールアプリの使い勝手には満足できていませんが、そこはThunderbirdをセットアップすれば済む話。
今夏には2度目の大型アップデートとなる「Windows 10 Anniversary Update」が控えており、細部の完成度は今後さらに向上してゆくことが期待されます。
周辺機器やソフトウェアの互換性については、筆者の場合は幸い問題なさそうです。
なので、もし本体側の問題さえなければWindows 10を常用して本格的に使いこなしたいし、もし今後Windows 10搭載PCに買い換えることになったとしても抵抗はない、というのがいまの個人的な感覚です。
Windows 7を安心して使える期間はあと4年もない
おととしはWindows XPの延長サポート切れが大きな話題となりましたが、多くの法人がXPからの乗り換え先として選んだWindows 7も、すでにメインストリームサポート(機能追加を含むサポート)は終了済み。セキュリティアップデートだけが提供される延長サポートも2020/1/14までと予告されているため、Windows 7を安心して使える期間はあと3年7ヶ月しかありません。
ちなみに、Windows 8.1の延長サポート期間はその3年後の2023/1/10までとなっています。
いま使っているPC本体をできるだけ長く使い続けたいなら、なおさらアップグレードしたほうが良いことになります。
Windows 7と比べて10の魅力はどんなところ?
Windows 7を使っていた頃を思い出しながら、Windows 10にどんな魅力があるかを改めて考えてみます。
起動時間が短くなる
高速スタートアップによって、起動時間はかなり短くなります。Windows 8で初めて搭載された機能ですが、10でも健在。
新しい周辺機器やソフトウェアに対応している
Windows 7を切り捨てて、動作環境をWindows 8以降としているソフトウェアがすでに登場し始めています。
「15分後に再起動します」とか急に言い出さない
Windows 7では、たとえ作業中であってもWindows Updateのために再起動を強いる仕組みになっていました。
Windows 10は再起動する日時を指定できるようになっているので、離席している間に再起動を済ませられます。
ゲームアプリがいろいろある
Windows 7ではソリティアが隠れ機能化していましたが、Windows 10にはソリティアとキャンディークラッシュが初めから入っています。
「ストア」を開けばほかにもiOS/Androidからの移植作があるし、ピンボールやマインスイーパーなどの新版、マインクラフト、Xbox Oneの本格タイトルである「Quantum Break」や「Forza Motorsport 6: Apex」のWindows 10版も登場しています。
映画のレンタルができる
「ストア」ではアプリだけでなく、映画のレンタルと購入、音楽の購入もできます。
スマホやタブレットよりも大きな画面で映画を鑑賞できるし、PCとリビングのテレビをHDMIケーブルで繋げばもっと大画面に。ChromecastやApple TVなどを買い足さなくても、手持ちのノートPCとケーブル1本でテレビでの映像配信が楽しめます。
セキュリティが向上している
目立たない部分ですが、実はサイバー攻撃に対する防御策もWindowsのバージョンが上がるごとに向上しています。Windows 10では特に法人ユーザー向けの防御策が向上しています。
ゼロデイ攻撃(セキュリティアップデートがまだ公開されていない新手法での攻撃)に対しては、できるだけ新しいWindowsを使っていたほうが安全性が高いと言えそうです。
個人でも実感できる範囲の話としては、Windows 7までは自分で検索してインストールしなければ得られなかった無料のウイルスチェック機能(Microsoft Security Essentials)が、8以降では標準搭載されています(Windows Defender)。
また、パスワード管理のリスクや入力の手間を軽減するために、PIN(暗証番号)やピクチャ パスワードといったサインイン(ログオン)の方法が用意されています。さらに、対応機器があれば指紋や顔など生体認証でのサインインも可能です(Windows Hello)。
8.1と比べてならどう?
Windows 8.1と10の比較では、見た目はともかく、機能面では7ほど大きな差はありません。
それでも一つメリットを挙げるなら「アプリの使い勝手が改善される」という点になります。
単にデスクトップ内に表示できるか否かというだけではなく、8.1までのWindows ストア アプリと10のユニバーサルWindowsアプリは内部的には別物のようなので、特にメールなど標準搭載のアプリについては8.1向けの今後の改良は望めません。また、今後はWindows 10専用のアプリが次第に増えてゆくはずです。
【まとめ】マイクロソフトさんからは1円ももらってません
なんだかPR記事みたいになってますけど、違いますというか、むしろ何か欲しいです……>日本MSさん
最後に改めて、Windows 10への無償アップグレードはすべきなのでしょうか?
何かしら支障が出ることが明らかな場合は、答えは自ずと決まります。アップグレードの通知が邪魔なら、ツールで抑止設定をすると出なくなります。そして今のWindowsを使い続けましょう。
そうでなければ、これまでに挙げたような期待されるメリットと、万が一トラブルが生じた場合に対処する時間が必要になるというリスクを天秤にかけた上での各々の判断になるかと思います。なお、アップグレード自体は数時間で済みます。
アップグレードを決心したら、念のためのバックアップはお忘れなく。
皆さんのPCライフに幸多からんことを。ぐっどらっく。
【おまけ】続・Windows 10関連リンク集
本文に入らなかったリンクをまとめて貼っておきます。
Windows 10無償アップグレード期間は残り3カ月、日本のユーザーは期限ギリギリまで待つ傾向 -INTERNET Watch
“国内では欧米よりも、アップグレードを期限ぎりぎりまで待つユーザーが多い。一方で、Windows 10へアップグレードしたいと考えている人の割合は欧米よりも高い”
Windows10にアップグレードをしたら必ず設定を見直したい項目 – ウェブと食べ物と趣味のこと
個人的には「そんなに色々オフにしなくっても」とも思うのですが……。
PC使いこなし塾 – PC Watch – PC Watch
Windows 10とOffice 2016を前提に書かれてはいるものの、キーボードショートカットなど、アップグレードしなくても役立つ部分あり。
Windows 10を“7風”に使うワザ7選 – 窓の杜
本当にWindows 10って使えるの? – 窓の杜
どちらかと言うと“パソコンに詳しい人”向けの連載。
「Microsoftが変わった」って言われてるけど本当なの?よくわかんないから直接聞いてきた|CodeIQ MAGAZINE
外資系と日本企業って何が違うの?Microsoftで聞いてみた|CodeIQ MAGAZINE
人気ライター・ヨッピー氏による記事。オフィスも社員食堂もすてき。
Windows 10に触れているのはひとつめの記事だけですが、読み応えを感じたのでついで貼り。
天気予報中にWindows 10アップグレード通知の放送事故!気象予報士がとった対応は? | RBB TODAY
なにせ地球規模で降ってきてるので、ある意味正解。
Tech TIPS:Windows 10をクリーンインストールする手順と注意点 (1/2) – @IT
完全に上級者向け。Windows 7/8.1のライセンス認証が済んでいるPCに、10をクリーンインストールしたい場合は7/8.1のプロダクトキーで認証が通る(2回目以降はプロダクトキーも不要)とのこと。